カネなし、コネなし、実務経験なし、それでいてどうして開業してしまったのか?それは・・・ムリって気づかなかったから(笑)

門前払から始める社労士試験ー開業ドタバタ体験記
  サイトマップ
トップページ > 門前払から始める社労士試験 > 開業ドタバタ体験記  

開業はしたけれど、ナイナイづくし。
晴れて社会保険労務士と名乗ることができるようになったけれど、当初は苦労の連続。
どのようにして仕事をつかんできたのか、こなしてきたのか、赤裸々に告白します。


さぁて合格したけど? 最初の顧問先
労災保険の給付請求 代表取締役の業務上災害
通勤災害の休業特別支給金
      

士業の独立開業に関し、参考になる書籍です。
管理人も読んでいるオススメ本
説  明
シングルマザーの税理士合格記  友人の税理士がご自身の離婚から試験合格、そして開業までを書いている。同じ境遇の人のために書いたというよりも、ご自身のけじめに思われる。開業して一端にやっているからこそ、これだけのことが書けるのだろう。女性向け。
独立開業ああ本日も仕事なし―新人司法書士円月堂抱腹絶倒奮戦記  司法書士の合格から独立開業まで赤裸々に書いてある本音の一冊。資格学校では決して語らない、語れない内容で、合格した者だけがうなづいてしまう内容です。男性向け。

■さぁて合格したけど、やっぱ独立しかナイのね

 平成11年7月1日に、カネなし、コネなし、実務経験なしで開業してしまった。自他ともに認める「無謀」な行動である。もちろん、見込み顧客など皆無であったし、やっていけるという計算もなかった。しかし、何とかこれまでやってきた。もし、今後私と同じ悩みを抱えている人たちの参考になればと思います。

 こうして、いよいよ社会保険労務士登録もでき、晴れて社会保険労務士と名乗ることができるようになったわけです。それが平成11年7月1日と言うわけなのです。どうして、そんなに慌てて開業してしまったのか。しっかりと実務経験をつんで、最低レベルの生活ができるくらいの顧客を掴んで、それから開業というように、ソフトランディングをすればいいのではないかと言われると思います。私も、できるならばそうしたかった。だけど、社会保険労務士事務所の求人は、ほとんどなかったし、加えて独立希望の有資格者を雇ってくれる先生などいなかった。考えてみればそうだと思う。顧客を取られるかもしれないということを心配しながら、お給料を払いながら勉強をさせてやろう、なんて奇特な先生などいなくて当然なのである。

 とにかく収入が全くなくなったので、開業せざるをえなかった。やっていく自信がないから開業できないなどと考えていたら、いつになっても開業などできない。私は、とにかくいつかは開業したいと思っていた。一生、勤務社会保険労務士ではいやでした。随分と前置きが長くなってしまいましたが、もう少し具体的なドタバタ体験談を披露させていただきます。

▲戻る

 

■最初の顧問先は・・・

 記念すべき顧問先第1号は、なんと自分で作った会社でした。自分で作ったというと、誤解があると思いますのでもう少し説明します。ある会社にもともと別会社を作る計画があり、その出資者を募っているところに私に打診がありました。私は、なけなしの貯金をはたいて出資をする決意をしたわけですが、そのかわり、顧問にしてほしいと言うことをお願いしました。「どうせ、社会保険労務士をどこかに頼むつもりでいたので、別にいいですよ」ということになり、晴れて顧問契約第1号となりました。この契約の仕方もあまり聞かないと思うけどなあ。

▲戻る

 

■労災保険の給付請求?・・・えらいこっちゃ

 開業した月も終わりにさしかかった頃、ある弁護士事務所から電話があった。余談ですが、その弁護士事務所に勤める事務員さんが、社会保険労務士受験講座に通っていて、私がその受験機関で受験指導のお手伝いをさせていただいていたという関係である。話の内容は、「業務上災害の第3者行為災害なんだけど、国への請求(労災保険、社会保険)は専門家である社会保険労務士の先生がやってほしい」というものでした。私は、正直ビビリました。おいおい、私は先生なんかじゃないぞ。それに労災保険の請求などやったことがないどころか、給付請求用紙も見たことがなかったのです。しかし、経験がないというのは実に恐ろしいことです。何が難しいのかわかっていないので、いい勉強にもなるだろうし、何とかなってしまうのではないかと安易に考えてしまったのです。それに、「仕事を断るなんて、自分には10年早い」と言う思いがあったからですけどね。

 さてさて、具体的な事故の内容を聞く前に、もう一度、法律条文を読み返しておこうと思ったのです。ゲゲゲ、労災保険法の第3者行為災害、民事損害賠償との調整といえば、受験生時代にわけわからなかった条文です。困った。わからないところもわからないほど、何もわからない。やっぱり断った方がいいかな、と何度も思いましたが、そうしなかったのは他に仕事がなかったからです。とにかく、時間はある。当たって砕けろの心境でした。

 事故内容は交通事故で、運送業であったため業務上災害というものです。過失割合は10対0の被害者で、相手は即死、こちらは一命は取り留めたものの寝たきりという重度障害です。さらに被害者側の会社は、なんとその被害者を解雇してしまったのです。業務上災害を負っている従業員を解雇したのです。当初被害者は、解雇に対する不服も申し立てると言っていましたが、現実的に職場復帰できる見込みはまったくないといったことから、弁護士と相談して解雇については何も問題とはしないということになった。

 治療費と休業補償費については、相手側の自動車保険会社から支払われてきましたが、途中で一切を拒否してきました。仕方がないので、とりあえず国に請求しようとしたところ(求償といいます)、求償は認めないというのです。受験生時代に勉強した時は、相手に対しても請求できるし、国に請求してもいいという様に選択できると習ったのですが、実務は違いました。とにかく相手から取りなさいというのです。困った、依頼者に言ってしまった。大丈夫ですよ、相手が払わなくても、国に請求しますからって。その時の、依頼者の不安そうな表情は忘れないなあ。

 それでもやれることはやろうということで、相手の自動車保険会社がすでに支払った休業補償分についての休業特別支給金を請求することにしました。ところが、給付請求書の会社証明欄の証明が必要だといわれたのです。そんなの何も問題がないように思いますが、業務災害を負った従業員を解雇するような会社です。証明するはずがありません。会社が証明しないならば、無しでもいいはずだと労働基準監督署に申立てましたが、どうしても必要であるということになり、労働基準監督署から連絡してもらい、相当脅して、やっとのことで証明を取りました。

 次に、弁護士と相談して、自賠責保険に対して被害者請求をすることにしました。結果は、3,000万円が支給されました。そのことによって、障害補償給付、障害特別支給金、障害特別年金の請求ができるので、すぐに行いました。このなかで、障害特別支給金、障害特別年金は支給されますが、障害補償給付は事故から3年間は支給停止ですので、そのことをしっかりと事前に依頼者に説明し、そのとおりでしたので、少しは信頼が回復できたのかなと思います。

 また、社会保険に対しても障害年金の給付請求をしました。労災保険と社会保険の障害年金の支給要件の決定的な違いは、労災の場合は、必ず症状が固定していないといけないのですが、社会保険の場合は症状の固定をしていなくても初診日から1年6月経過すると、給付請求ができるという点です。実は、症状固定日に関して相手の自動車保険会社との争いがあるのです。それで、1年6月が経過するのを待って給付請求したのですが、結果的に遡って給付されました。とてもうまくいって、今度は完全に信頼を得ることができました。

▲戻る

 

■代表取締役の業務上災害・・・従業員なら楽だったのに

 健康保険では、業務外の負傷、疾病等に対して保険診療が受けられます。では、業務上の負傷、疾病等はどうなるのでしょうか。そうです。労災保険から給付が受けられます。しかし、それは労働者の場合のことであって、事業主は労災からは受けられません。そのために労災保険には特別加入制度といって、特別に加入した事業主が労働者と同じように仕事をしていて負傷したならば、労災保険で給付するという制度があります。私の依頼者もこの特別加入をしていましたが、日曜日の夜に一人で生産作業をしている時に負傷してしまいました。このようなケースでは、いくら業務上災害で特別加入していても労災からの給付は受けられません。なぜならば、労働者がいなかったからであり、事業主だから日曜日の夜に一人で作業していたからなのです。労災保険から給付がされなければ、どうなるのか。健康保険では、業務外の負傷となっていますので、給付されないのです。私に依頼が来る前に、いろんなところで相談したそうですが、やはり健康保険も労災保険も使えずに全額自費診療となると言われたようです。

 私も最初話を聞いた時は、法の盲点にはまってしまった!と思いました。このケースではどうしようもないと思いましたが、今回もまた仕事がない故にやるだけやってみましょうと安請け合いをしてしまったのです。

 そして、最初に考えたことは、国民健康保険による給付です。国民健康保険では、業務上か業務外かを問わず給付されますので、健康保険を全員喪失しようとしました。これは、もちろん違法行為です。違法行為という認識があった訳ですが、依頼者の利益を得たい一心で考えてしまいました。それでも、他に何か知恵はないのだろうかと社労士のメーリングリストで発言したところ、有益なアドバイスを受けることができました。それは、今回のようなケースでは平成9年よりも前は、全額自費負担であったのだが、平成9年からは健康保険法上の業務上の解釈が変更になり、健康保険による給付が受けられるといった場合があるというのです。これは、社会保険審査会の裁決の事例としてあるというものなので、今回も審査請求すれば給付を受けられる見通しであるということです。

 そこで、私は審査請求なるものをする覚悟をしました。審査請求というものがどれほどのものかは知りませんが、とにかくその審査請求をすればいいんだと考えました。そして、社会保険事務所で今回の事故について相談しました。当初は、従来どおり全額自費と言われましたが、社会保険審査会の裁決集を示して、最近は健康保険による給付が受けられるはずだと申し立てました。こちらとしては審査請求する用意があることも伝えました。その気迫に圧倒されたのかどうかはわかりませんが、労災保険から給付が受けられなければ健康保険で面倒みましょう、ということになりました。そのかわり、審査請求するのは止めてください、ということなのでしょう。

 さて、労災の不支給は、社会保険労務士ならば当然のことなのですが、社会保険事務所では理解のできないことなのです。それを示すのに一番早い方法は何かを考えたところ、労災の支給申請をしてしまえばいいことに気がついたのです。支給申請すれば、不支給ならば不支給決定通知書がでますので、それを社会保険事務所に提出すればよいのです。我ながらグッドアイデアでした。労働基準監督署に対して、早急に不支給決定通知書を出してくださいなどとお願いする社会保険労務士は、私のほかにいないことでしょう。

 その後、労災の不支給決定通知書を社会保険事務所に提出したことろ、健康保険による給付が受けられることになりました。依頼者にとって、病院への支払いが2割でよくなったことで数百万円の利益が出ました。さらに、高額療養費といって、63,600円を超えた分を償還払い請求しましたので、結果的に、数百万円が63,600円ですむことになったのです。
 事業主さんからは、大層感謝されまして、その会社の顧問をお願いされました。

▲戻る

 

■通勤災害の休業特別支給金・・・誰も請求しないもの?

  通勤災害は労災の給付対象となることはご存知の方も多いと思う。だけど、相手のある交通事故で被害者の場合は労災請求しない場合がほとんどだと言うのです。それはなぜか?

  被害者であれば、加害者側(自動車保険会社を含む)が治療費から休業損害、はたまた労災では給付しない慰謝料まで払ってくれるから、被害者が労災へ請求するものは何もないと思われているのだろうか。そんなことはない。労災には、「特別支給金」という保険給付とは似て非なるものがある。その特別支給金というのは、通常は保険給付の請求と同じ用紙で、しかも同時に行ってしまうため、改めて支給申請(どうでもいいことですが、保険給付は給付請求、特別支給金は支給申請なのです。)することはありません。しかし、被害者の場合は相手側から100%休業損害が支払われますので、休業特別支給金だけを労災へ支給申請する必要があるのです。何か腑に落ちないことがありますか? 相手から100%の休業損害をもらったのに、さらに労災から休業特別支給金(20%)がもらえるということなんてあり得るの? ということは、この人は働いているよりも休業している間の方が20%分多く収入があることになってしまうのか? そうなのです。それでいいのです。特別支給金というのは、保険給付とは似て非なるもの、と前述しましたが、相手から支払われた休業損害とは支給調整されません。法律条文には調整規定がないのです。つまり、もらえるということになります。

  私、受験生時代から労災が大好きだったから、間違いなくもらえると疑っていませんし、当然誰もが支給申請していると思っていたのです。ところが、労災指定病院でトラブッちゃいました。休業特別支給金の支給申請用紙には労務不能を医師に証明してもらう欄がありますが、その証明を出さないと言うのです。病院側の言い分は「今回は交通事故であり、加害者の保険会社が全額払うと言っている。なのにどうして労災請求するのか。今回の事故は保険会社からではなく、労災として取り扱うってことなのか。」ですって。思わず私は「違う、違う、ぜーんぜん違う〜!」って叫びたくなりました。

  その後のやり取りは、「保険会社か労災かどちらか一方でないと請求できない」という病院側と「保険給付とは違う特別支給金というものだけを労災請求する」という私の主張との平行線です。平行線とはよく言ったもので、接点が全く見つからず、ただ無駄な時間を費やしたのです。さらに、この被害者は途中で病院を替わっているのです。だから、替わった先の病院でも同様の証明が必要となります。そして、またもや先の病院と同じ会話が繰り返されたのです。今度は加害者の保険会社に聞いたところ、そんなことは聞いたことがないと言うのです。私に対して「どうしてそんなややこしいことを言うのか」ですって。思わず私は山口百恵さんのプレイバックPart2を歌いたい心境となりました。「バカにしないでよ〜♪ そっちのせいよ〜♪」     

  結局、埒があかないので納得のいくまで労基署で聞いてもらうようにお願いしちゃいました。そして、それぞれの病院から連絡があり、私の言っていた意味がやっと理解できたとのことです。その後のやり取りはスムーズでした。「労務不能の証明に関わる費用は請求できないのか」という問に対して、「療養の費用請求書に記載し、被害者に直接請求してくれ」と返答。さらに「療養の費用請求書に関する文書料は請求できないのか」ってきた時には、さすがに嫌気がさしました。「いい加減にして下さい。そんなもの請求できるわけがないでしょ」と言い切ったら意外とすんなり黙ってしまった。

  それにしても、2つの病院とも労災指定病院を長年やっているところだけど、今までこんな事例は1件もなかったって言っていた。休業特別支給金だけの請求って誰もやらないものなの? 金額的にはわずか数万円のことなのですが、被害者の方にとっては大きな問題なのです。自分の権利が擁護されたのですから。

▲戻る

※当事務所のリクルート・求人情報はこちら! 他の社会保険労務士事務所で働きたい方は士業専門の求人サイトへ!

トップページ | サイトマップ | あすなろオンライン | お問合せ
会保険労務士法人 あすなろ事務所
〒460-0022 名古屋市中区金山1-4-4 第9タツミビル2F
TEL:052-737-6321 / FAX:052-737-5626
URL : http://www.asunaro-as.net/
Copyright (c) Certified Social Labor Insurance Corporation Asunaro Office 2000- All rights reserved.