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請求人の両持発性大骨頭壊死については、当該傷病の原因であるネフローゼ症候群の初診日は昭和61年6月に健康診断日として、昭和62年12月までの被保険者期間を計算の基礎とした障害厚生年金を裁定されたが、昭和62年から平成9年までの間は通常の勤務をしており、治療行為もなく腎機能の異常もなかったことから、初診日は平成9年10月6日とするのが相当であるため、原処分は妥当でなく取消し。(H14.5.31)
<ここがポイント>
初診日の考え方として、治療を目的としない受診(健康診断、集団検診等)は初診日とせず、その後医師の診察を受けることになり、治療が継続する状態になったとき(具体的な治療行為又は療養の指示があった日)を初診日としている。なお、本件において障害等級については争いがなく、もっぱら初診日についての争いであることの意味は、障害認定日の月後は障害年金の金額の基礎としないとされているからである。
請求人の精神分裂病について、発病日は厚年の被保険者でなかったが、社会的治癒の期間があったものと認め、再発初診日は被保険者期間内にあったと判断し、かつ、裁定請求日における障害の状態は3級の程度に該当していると認められるため、不支給とした原処分は妥当でなく取消し。(H14.8.30)
<ここがポイント>
社会保険の運用上は、過去の傷病が治癒したのち再び悪化した場合は、再発として過去の傷病とは別傷病とし、治癒が認められない場合は、継続して同一傷病と取り扱われるが、医学的に治癒していないと認められる場合であっても「社会的治癒」とされる場合は、再発として取り扱われる。本件の場合、昭和53年3月(被保険者ではなかった)に初診日があり、平成7年4月(被保険者になっている)までの間、通勤状況も良好であり、標準報酬も昇給しており、年に4から5回の通院であったものの社会的治癒と判断された。そして、平成7年4月に病状が明らかに悪化した。
請求人の慢性賢不全については、厚年の被保険者期間に発した傷病と認められ、かつ、裁定請求日における障害の状態は、裁定請求日当事の資料がないが、少なくとも3級には該当すると認められるため、不支給とした原処分は妥当でなく取消し。(H14.8.30)
<ここがポイント>
保険者側は昭和52年が初診日だとしているが、その当時請求人はまだ学生であり、職場の定期健康診断で異常が発見されたとするのは疑問がある。反面、請求人は昭和59年に病院で診察を受け、医師が発病から初診日まで放置したと思われるとしている。どうして、保険者側は昭和52年にしたいのかといえば、昭和52年当時は、請求人は20歳前であり、そうなると3級の障害等級では障害年金は支給されない。しかし、昭和59年であれば、厚生年金の被保険者であるので3級であっても障害年金が支給される。
請求人の右正中神経障害について、既往傷病である右正中神経断裂、右示〜環指屈筋腱断裂とは医学的に因果関係があるとする保険者の見解を否定できないが、経過等から考慮して別傷病であり、かつ、初診日は厚年の被保険者期間中であると認められ、また、裁定請求日における障害の状態は、3級の程度に該当すると認められるため、不支給とした原処分は妥当であり取消し。(H14.8.30)
<ここがポイント>
請求人は平成3年4月に負傷し、平成4年8月に最終診察を受け、その際には動作状況は十分であったとされている。その後、4tトラックの運転手として職場復帰をし、野球、ゴルフ、スキー等のスポーツも行ってきた。そして、平成11年2月にタクシー運転手として乗務中に追突されて負傷した。医師の診断は、既往傷病は完治しており、交通事故の衝撃により強制されて疼痛等の症状が急に発現したものと判断し、初診日を平成11年2月の交通事故日とした。
請求人の脊髄小脳変性症による障害の状態は、下肢による常時動作のすべてが一人で全くできないか又は一人でできてもうまくできないことが明らかであるから、障害の状態は2級に該当するというべきであり、障害給付を支給しないとした原処分は妥当でなく取消。
(H14.12.24)
<ここがポイント>
平成12年2月、何の誘因もなく急に右足関節の痛みを感じ、某外科で診療を受けたところ、右足関節炎・リウマチ(疑)というものであり、2回通院してやめたものの、その後、同年11月に歩行困難となり別の病院で診察を受けたところ、脊髄小脳変性症と診断された。さらに、その後の診療をした医師によれば、平成12年2月においても脊髄小脳変性症と関連があり、リウマチではないとしている。その結果、初診日は平成12年2月と判断された。なお、どうして初診日について争われたかと言えば、平成12年3月16日で厚生年金被保険者を喪失しており、同年11月が初診日となると、初診日の当時、厚生年金の被保険者ではなくなり、障害厚生年金の受給が受けられないからである。
請求人の精神分裂病による障害の状態は、障害認定日において無為、自閉、無関心な生活態度がめだち、情意鈍磨が著しく、好褥的で就労はせず、終日寝ているような日常生活を送っていること等から、2級に該当すると認められ、また、裁定請求日においては障害認定日の時点における状態とほぼ同程度であると認められるため、3級の障害厚生年金を支給するとした願書分は妥当でなく取消。(H14.1.31)
<ここがポイント>
病状が2級に該当するか3級に該当するのかである。2級の例示としては「欠陥状態又は病状があるため、人格崩壊、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるもの」となっており、3級は「欠陥状態又は病状があり、人格崩壊の程度は著しくはないが、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があり、労働に制限を加えることを必要とするもの」となっている。この請求人の病状は「言われれば何とかやるけれど、言われなければしようとしない」となっており、休職中であり勤務はしていなかった。このことから2級と判断された。
請求人の脳出血による障害の状態は、一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの(2級)に該当していると認められるため、額改定請求時において3級の程度に該当するとして、改定しないとした原処分は妥当でなく取消。(H14.1.31)
<ここがポイント>
請求人は、平成11年9月より3級の障害厚生年金を受給していたが、障害の程度が増進したとして2級の障害厚生年金の請求をした。争点は、障害の程度が2級と認められるかどうかである。本件の場合、脳の器質障害による多発性の肢体の障害機能であるから、関節個々の機能による認定によらず、身体的機能を総合的に認定することになるところ、日常動作の全項目について1人でできてもうまくできないか、1人では全くできない程度ということで2級と判断された。
請求人のうつ病による障害の状態は、向精神病薬のほか、強力な睡眠薬を多量に処方されており、基本的な症状の軽快は認められておらず、2級の状態と判断されるため、2級から3級への額改定がされた原処分は妥当でなく取消。(H14.3.29)
<ここがポイント>
平成11年2月当初、「精神症状を認め、身のまわりのことはかろうじてできるが、適当な援護や保護が必要である」とされていたが、平成12年11月に「精神症状を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活上困難がある」とされたのを受けて3級としていた。ところが、別の医師での診断は「日常生活はかろうじてできる」と診断している。平成11年2月と平成12年11月とを比べて、あまりにも改善しているのはいかにも唐突感が否めないし、改善の理由として「仕事がなく、休養が取れ、うつ病やや軽快」となっているのも説得力がない。よって、平成12年11月時点の症状は、当初の症状とあまり変わりはないであろうと判断された。
請求人のC型肝硬変による裁定請求日における障害の状態は、明らかな食道静脈瘤が認められるとともに肝機能検査成績も異常を示しており、2級に該当すると認められるため、原処分は妥当でなく取消。(H14.3.29)
<ここがポイント>
当初の症状は、おおむね3級に該当する程度であったが、血小板数に中程度の異常が認められ、さらに当該傷病のために勤務をやめざるを得なかったことを考慮し、2級と判断された。
請求人の陳旧性心筋梗塞による障害の状態は、動悸、息切れ等の自覚症状があり信金機能も低下しており、3級に該当していると認められるため、不支給とした原処分は妥当でなく取消。(H14.4.30)
<ここがポイント>
障害等級は「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」を基準としているが、それに照らし合わせると3級に該当する。
請求人は、左示、中、環、小指切断により、障害手当の裁定をうけたが、請求人の示指は切断後に環指を再接着しており、最接着後の示指は感覚機能の喪失等有用な指機能を有していない状態にあり、しかも中、環、小指も切断されていることから3級に該当するため、障害厚生年金を支給しないとした原処分は妥当でなく取消。(H14.5.31)
<ここがポイント>
同上。
請求人のアルコール依存症による障害の状態は、障害認定日においては構成年令別表第1に定める程度に該当しないが、裁定請求日においては国年令別表に定める2級の程度に該当することから、原処分は、裁定請求日において障害給付を支給しないとした点において妥当がなく取消。(H14.6.28)
<ここがポイント>
障害認定日においては障害等級に該当しないが、裁定請求日において障害等級2級に該当するので、2級と判断された。
請求人のじん肺による障害の状態は、設定基準の2級の例示に相当し、振動障害による上肢機能障害による障害の状態は、3級の程度に相当すると認められるため、不支給とした原処分は妥当でなく取消し。(H14.7.31)
<ここがポイント>
「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」によれば、2級と3級に該当する。なお、2つの年金が受給できるのではなく、選択による一方のみである。
請求人の多発性硬化症による障害の状態は、裁定請求日において2級に該当すると認められ、また、右大腿頸部骨折による障害の状態は、障害認定日において3級に該当する程度のものと認められるため、不支給とした原処分は妥当でなく取消。(H14.7.31)
<ここがポイント>
「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」によれば、多発性硬化症は2級に、右大腿頸部骨折による障害は3級に該当する。
請求人の僧帽弁閉鎖不全症による障害の状態は、2級の例示に相当するものと認められるため、不支給とした原処分は妥当でなく取消。(H14.7.31)
<ここがポイント>
「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」によれば、2級に該当。
請求人の慢性C型肝炎については、臨床症状、検査成績等から判断し、認定基準の3級に相当する例示に該当しているため、障害給付金を支給しないとした原処分は妥当でなく取消。(H14.12.24)
<ここがポイント>
「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」によれば、3級に該当。こんなことなら、裁定請求段階で、認定基準を厳格に適用してもらえればよい。
請求人の変形性腰椎症及び右座骨神経痛による障害の状態は、胸腰部の運動範囲は正常可動範囲の4分の3以下に制限されており、また、症状固定せず治療中であったと認められるので、3級に相当するというべきであり、障害厚生年金を支給しないとした原処分は妥当でなく取消。(H14.12.24)
<ここがポイント>
症状固定せず治療中であったと認められるので、「傷病が治らないで、身体の機能又は精神もしくは神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの」に相当すると判断された。
請求人の頸椎症性脊髄症による障害と、先発の障害等級2級の障害基礎年金を受給している脊髄性小児麻痺による障害とを併せた障害の状態をみた場合、「両下肢の用を全く廃したもの」に該当し障害等級の1級に該当し、設定基準による差引認定その他修正を施した認定の結果、裁定請求時の時点で2級の障害給付をなすべきであり、障害等級3級の障害厚生年金を支給するとした原処分は妥当でなく取消。(H14.12.24)
<ここがポイント>
先発障害が2級に認定されており、さらに後発障害についても裁定請求をしたところ3級と認定され、それを不服として審査請求に及んだもの。認定基準に照らし合わせて併合認定すると1級となる。しかし、差引認定という修正を加えると1級に該当しなくなる。審査会の判断は、差引認定の妥当性に疑問を抱いており、差引認定の結果が明らかに不合理である場合にはさらに修正を施すのが相当であると判断し、併合認定1級とした。
請求人の脳出血については、裁定時の請求傷病が十数年の長期間にわたって暖徐に進行拡大したものと推認されることから、支給対象傷病と同一疾病又はこれに起因する疾病と認められるものであり、額改定請求時における障害の状態は2級の程度に該当するものと判断されるため、増悪の原因は厚年期間外に発症した支給対象外傷病であるとして、額を改定しないとした原処分は妥当でなく取消。(H14.1.31)
<ここがポイント>
保険者側の主張は、増悪について何らかの原因があり、それが厚生年金期間外にあるため、当初の傷病に障害は従前のままだとしている。一方、請求人側の主張は、長期間にわたって運動療法、投薬、検査、血液測定等の治療を継続してきて、時間の経過とともに悪くなってきたものとしている。審査会の判断では、保険者側の主張を裏付けるものがないとして、増悪の原因は加齢や脳血管性病変(無症候性脳血管障害)の進行と相まっていると判断した。
請求人の慢性呼吸不全、脊椎側灣証による障害の状態は、肺機能障害、肢体の障害の程度を併合すると障害等級3級に該当すると認められることから、障害給付を支給しないとした原処分は、障害厚生年金と支給しないとした部分について妥当でなく取消。(H14.6.28)
<ここがポイント>
当該傷病の初診日は、20歳前の日であり、そうすると障害等級の1級もしくは2級には該当しない。しかし、初診日から約2年間は治療を受けたものの、その後、約30年間は格別の症状がなく、勤務も支障なくできており、また治療も受けていなったので、社会的治癒であるとした。その後において、社会的治癒後に診療を受けた日については、厚生年金の被保険者であり、障害認定日における障害等級は3級に該当すると判断された。なお、初診日が20歳前であるとすると国民年金の障害基礎年金となり、それには障害等級が1級と2級しかないが、初診日が厚生年金の被保険者期間内であれば障害厚生年金となり、障害基礎年金よりも障害の程度が軽い3級まであるために、初診日が争点となった。
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