社会保険の不服申し立て制度
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健康保険に関する裁決をご紹介します。


傷病手当金 療養の給付
療養費 その他
      

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■傷病手当金

 請求人の自律神経失調症、過敏性腸症候群については、本請求期間のうち、雇用保険法第10条の規定による基本手当の受給を開始した9月7日の前日までの期間は従前の業務に就くことは困難であったと認められるため、不支給とした原処分は妥当ではなく取消。(H14.3.8)

<ここがポイント>

 軽易な業務に就くことはできたかも知れないが、従前の業務であるフォークリフトの運転業務は、中等度以上の労働であり、その業務に就くことは困難であったと認められ、よって「従前の業務には労務不能」と判断された。


 請求人の十二指腸潰?については、入院当時潰瘍からの出血による貧血所見もあり、退院の翌日から業務に就くことは、困難であったと認められるため、不支給とした原処分は妥当でなく取消。(H14.4.30)

<ここがポイント>

 傷病手当金の支給要件である、療養のため労務不能か否かの判断は「必ずしも医学的基準によらず、その被保険者の従事する業務の種別を考え、その本来の業務に耐えうるか否かを標準として社会通念に基づき認定する」ということである。本件は、現場監督が本来業務であり、復職してからの業務は肉体的負担の少ない業務に変わっているので、退院の翌日から復職するまでの間、たとえ退院していたとはいえ労務不能と認められた。

 

 請求人の食道癌・栄養失調は、医師がアルコール依存症の身体症状としての栄養失調があり、労務不能が継続していたと認めていることから、傷病手当金を支給するのが相当であり、また、肝障害は前記傷病とはアルコール依存症を基盤とする相互に因果関係のある傷病とみられるので、法第55条の2にいう「継続シテ」の要件は満たされ、かつ、労務不能であったと推定されるため、不支給とした原処分は妥当でなく取消。(H14.8.30)

<ここがポイント>

A傷病は食道癌・栄養失調であり、B傷病は肝障害であった。A傷病について傷病手当金を受給していたが、資格喪失後にB傷病による傷病手当金の請求をした。A傷病とB傷病が継続していないとして傷病手当金の不支給決定がされていたが、アルコール依存症が基盤にありA傷病とB傷病を発症したとして、B傷病についても継続しているとして資格喪失後の継続給付が認められ、傷病手当金が給付されることになった。

 

 請求人のクモ膜下出血について、軽度の見当識障害が残っていること等、請求人が従前の業務に堪え得ると判断することは困難であるため、不支給とした原処分は妥当でなく取消。(H14.8.30)

<ここがポイント>

業務は放流釣り場であり、重労働の上危険が伴う仕事であり、従前の業務に耐えうると判断することは困難なので、傷病手当金の請求が認められた。

 

 請求人のC型慢性肝炎については、既決傷病である慢性肝炎(急性増悪)とは医学的に同一傷病であるが、既決支給期間終了後、殆ど欠勤せずに通常勤務をしており、2年近い社会的治癒に相当する期間があったと判断するのが相当であるため、不支給とした原処分は妥当ではなく取消。(H14.9.30)

<ここがポイント>

医学的には同一である2つの傷病についてであるが、まず傷病手当金を請求し、その後2年に渡り毎月1〜2回の通院はあったものの深夜勤務等の通常勤務をしており、社会的治癒に相当する期間があったとして医学的には同一傷病である再度の傷病手当金の請求が認められた。

 

 請求人の腰痛症、第5腰椎分離・辷り症については、請求期間中、整形外科の治療は受けなかったがリハビリテーション部において理学療法を受けている等、療養のため労務不能の状態にあったというべきであり、傷病手当金を支給しないとした処分は妥当ではなく取消。(H14.12.24)

<ここがポイント>

整形外科の診療回数が1ケ月に6〜9回の時には傷病手当金が給付されており、診療は受けていないがリハビリを受けに通院していた期間についても傷病手当金の請求が認められた。なお、本件の保険者は健康保険組合であり、請求人は任意継続被保険者である。その辺りも、審査請求前の請求時には不支給としたのではないかと思われる。

 

 請求人の胸髄損傷後遺症については、業務外の事由によるものではないと判断することは困難であるため、傷病手当金を支給しないとした原処分は妥当でなく取消。(H14.5.31)

<ここがポイント>

平成9年7月4日から同年9月30日の間、B傷病により傷病手当金を受けた。
平成11年6月14日に業務上の負傷をし、平成12年2月21日まで休業補償給付を受けた。
平成12年2月25日から同年5月26日までの間、B傷病による傷病手当金の支給を受けた。
平成12年9月1日から平成13年6月30日の間、B傷病による傷病手当金の支給を受けた。
審査請求の内容は、平成12年5月27日から同年8月31日の間につき、傷病手当金の支給を求めるものである。本件は、もともとB傷病を有しているところに業務上の負傷をし、B傷病が再燃、増悪したとして「業務外の事由によるものではないとはいえない」ということである。

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■療養の給付

 請求人は事業所の代表取締役を務め、業務執行を実質上も指揮する者であるから、労働基準法上の労働者に該当しない者であるが、他の従業員とほとんど変わることのない形態で事業所の業務に就いているところからみれば、請求人の頭部打撲ほかの傷病に対して、健康保険法第1条第1項にいう「業務外」の概念を拡張的に解釈して、健康保険の療養の給付を行うのが相当であり、原処分は妥当でなく取消。(H14.6.28)

<ここがポイント>

代表取締役であれば、労災請求は不可であるため、健康保険法から給付を行うというもの。後に通達となって発令されている。

 

 請求人は事業所の代表者であるから、労働基準法上の労働者に該当しない者であるが、従業員と何ら変わるところのない形態で事業所の業務に従事しているところからみれば、請求人の頭蓋骨骨折の疑い、頭蓋内出血の疑い、下顎骨・歯槽骨骨折等の傷病に対して、健康保険法第1条第1項にいう「業務外」の概念を拡張的に解釈して、健康保険法の療養の給付を行うことが相当であり、原処分は妥当でなく取消。(H14.6.28)

<ここがポイント>

 同上。

 

 請求人は事業所の代表者であるから、労働基準法上の労働者に該当しない者であるが、従業員と変わるところのない形態で事業所の業務に従事しているところからみれば、請求人の骨盤骨折、尿道損傷等の傷病に対して、健康保険法第1条第1項にいう「業務外」の概念を拡張的に解釈して、健康保険の療養の給付を行うことが相当であり、原処分は妥当でなく取消。(H14.6.28)

<ここがポイント>

 同上。

 

 請求人の、右手右前腕熱傷挫創の原因となった事故は、業務に起因する業務に起因する傷病であるが、小規模法人の取締役であり、かつ代表取締役の妻であることから、業務執行を事実上も指揮するものであり労働基準法上の労働者に該当しないこと等を総合してみると、健康保険法第1条第1項の概念を拡張的に解釈して療養の給付をおこなうことが相当とされたもの。(H14.9.30)

<ここがポイント>

 同上。

 

請求人の右中指挫断創等の原因となった事故は、業務に傷病ではあるが、小規模法人の代表取締役であり、形式上も実質上も経営者の地位にあり、業務外の事由によるものと認めるのが相当であるため、療養の給付しないとした原処分は妥当でなく取消。(H14.10.31)

<ここがポイント>

 同上。

 

請求人の右上腕骨顆上骨折等の原因となった事故は、業務に起因する傷病ではあるが、小規摸法人の代表取締役であり、形式上も実質上も経営者の地位にあり、業務外の事由によるものと認めるのが相当であるため、療養の給付をしないとした原処分は妥当ではなく取消。(H14.10.31)

<ここがポイント>

 同上。

 

請求人の右中指関節内開放骨折等の原因となった事故は、業務に起因する傷病ではあるが、小規模法人の代表取締役であり、形式上も実質上も経営者の地位にあり、業務外の事由によるものと認められるのが相当であるため、療養の給付をしないとした原処分は妥当でなく取消。(H14.10.31)

<ここがポイント>

 同上。

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■療養費

 請求人の(左右)頸腕症候群に係るはり・きゅう施術ついて、保険者は6か月支給した後、症状はいったん軽快した後、さらに2か月の支給を認めており、事実上再発の認定をしていることから、それに続く本請求期間は6か月以内の施術に該当するため、不支給とした原処分は妥当でなく取消し。(H14.8.30)

<ここがポイント>

 A期間:平成11年9月1日から翌12年2月29日
 B期間:平成12年5月23日から 同年7月31日
 C期間:平成12年8月25日から 同年11月20日
ここで、B期間について保険者は錯誤により支給したとしているが、その支給を取消していない以上追認したものとして、C期間は継続療養と行われてものと判断された。

 

 請求人の左下肢リンパ浮腫の治療のためとして、弾性ストッキング及び弾力包帯を購入した費用について、当該傷病に対して他の適当な治療法はなく本装具は治療上必要であるため療養費の支給対象と認めるのが妥当と判断する。(H14.10.31)

<ここがポイント>

争点は、弾性ストッキング及び弾力包帯が治療用装具に該当するかどうか。リンパ浮腫という疾患には決定的な治療法はないが、弾性ストッキングは有効な治療とされており、治療用に処方されたものであり、治療用装具と判断された。

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■その他

 請求人の脳出血後遺症については、1年以上継続した被保険者期間に続いて任意継続被保険者期間と1年未満の被保険者期間がある場合に、後者が終わった後に更に当初の被保険者期間に基づく継続療養が認められるべきかどうかであるが、これを否定すべき理由はなく、原処分は妥当でなく取消し。(H14.7.31)

<ここがポイント>

 省略(現在は、継続療養の制度が廃止されたため)

 

 請求人の被扶養者となった母が、従前加入していた国民健康保険の被保険者証を誤って使用したために健康保険による診療を受けなかったことについて、「やむを得ないもの」と認めないことは妥当を欠くものといわざるを得ず、家族療養費を支給しないとした原処分は妥当でなく、取消し。(H14.7.31)

<ここがポイント>

 「やむを得ないもの」に該当するか否かであるが、被扶養者の母に過失があったとは考えられるが、不正受給をする意思もなく、高齢であり保険制度に対する理解も充分でないことから、やむを得ないものに該当すると判断された。

 

 請求人の被扶養者(子)の調節性内斜視、遠視、弱視の診療をうけた眼科の医師の診療により購入した「眼鏡」は、治療用装具と認められるため、家族療養費の支給対象としなかった原処分は妥当でなく取消し。(H14.9.30)

<ここがポイント>

昭和39年の通達により眼鏡は支給対象としないことになっているが、本件は医師の診断により治療用眼鏡の使用が有効であり、それ以外に適当な治療方法がないので、療養費に支給要件に該当するとした。一律的に排除するのではなく、法の趣旨に照らした判断をすべきである。

 

 請求人が、保険料を納付期日までに納めなかったことについては、遅延に至る事情等を考慮すると、当該納付遅延をもって直ちに任意継続被保険者の資格を喪失させた原処分は妥当であったとは言い難いため取消し。(H14.10.31)

<ここがポイント>

 「長年保険料を給与から源泉徴収され、その習慣からつい納付を忘れた」との事情が正当な事由と認められた。なお、以下の点も議論された。
・社会保険事務所で保険料前納制度が選択できる説明があったかどうか
・1人暮らしのため、郵便物を適宜に見ることができなかった
・保険料納付に自動振替が認められていない
・最初の保険料の納付で遅延したこと
・同月内に納付の申し出をしていること

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