退職後の競業禁止は可能か?
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 最近の労働者の意識として「転職に対する抵抗感の薄れ」、「愛社精神の薄れから、これまでの知識や経験を活かしてより好条件の職場を求める」といったことがあり、使用者側には「他社において教育済みの即戦力となる労働者を中途採用したい」というものがあり、相思相愛の関係で同業者へ転職する労働者が増加している。

雇用契約書、守秘義務に関する誓約書(退職時)も収録!
雇用契約書ひながた&添削パック


競業禁止(競業避止義務を負わせること)は可能か?
 
      

■競業禁止(競業避止義務を負わせること)は可能か?

●在職中

 就業規則や誓約書、雇用契約書等の特約がなくても、在職中の競業は使用者に対し信義誠実に反するとして競業は禁止される。

●退職後

 就業規則や労働契約書等に規定が必要であり、規定がなければ競業避止義務を負わせることは難しいが、規定があってもそれが妥当かどうか(合理性があるか)は個別案件ごとに判断がされる。しかし、少なくとも就業規則や労働契約書等に規定がなければ、憲法の「職業選択の自由」からそもそも競業避止義務を負わせることはできないと考えた方がよい。さらに、退職時に誓約書を取る場合であるが、就業規則に規定があれば誓約書を書くことになる(書かなくても就業規則の効力が及ぶことになるが、意識付けのために書かせるというのならば意味がある)が、就業規則に規定がなければ誓約書を書く義務はない(書く、書かないは自由意思)。
 となると、退職後に競業を禁止するには少なくとも「就業規則への記載」をしておくことは必須といえる。

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■競業制限が争われた判例
事件名(対象者)
事件内容
判決(理由)

■■■■■事件※1
(一般労働者)

・構内下請作業員2名が退職後、競業会社に就職し、同工場の同現場で作業に従事

・退職後6ヶ月間の現在勤務する現場のある元の使用者の取引企業及び同じ職場にある同業他社への就職禁止特約

『無効』

退職者が単純作業員であり、代償措置もない特約だから

東京貨物社事件
(一般営業社員)

・営業担当者らが在職中から競合会社の設立を準備し、退職後競業を実践

・就業規則に加えて労働契約にも特約あり(退職後3年)

『無効』

代償措置が設けられていない

新日本科学事件
(非管理職であるマネージャー)

・臨床開発グループのマネージャーの地位にあった者(非管理職)が、退職直後に競業会社に就職

・競業禁止特約(退職後1年)

『無効』

在職中の秘密保持手当(月額4,000円)では競業禁止の代償として不十分

消防試験協会事件
(非管理職)

・退職者が競業会社を設立し取締役に就任し、一部の同一顧客に競業行為を実践

・新たに就業規則に追加された(退職後2年間)

『無効』

労働条件の不利益変更であり、変更する合理的な理由がないため

東京貨物社事件
(営業部長、営業課長)

・退職した営業部・課長らが競業会社の役員等として就労

・競業禁止特約(退職後3年間、地域無限定)

『無効』

代償措置がないから

ソフトウエア開発・ソリトン技研事件
(技術部長)

・技術部長であった技術者が、退職後在職中に派遣されていた先で担当していた仕事の注文主に就職

・就業規則に退職金不支給条項あり(期間、地域無限定)

『無効』

期間、地域に無限定の規定だから

ケプナー・トリゴー日本事件
(インストラクター)

・インストラクターが退職後数ヶ月後に同人が研修を実施した元の使用者の顧客に対し、教育研修を実施

・競業禁止特約(退職後12ヶ月間、同人が在職中に研修又は勧誘した顧客に対し)

『有効』

禁止期間、業務の範囲からみて公序良俗に反せず

ジャクパコーポレーション事件
(一般社員)

・体育指導担当の従業員らが退職後同一地域で競合会社において同業務に従事

・就業規則(退職後1年以内に同一及び隣接地域での競業をした者には退職金は半額支給)

『有効』

地域、期間に限定があり、退職金減額条項は有効

ダイオーズサービシーズ事件
(一般営業社員)

・営業社員が懲戒解雇された後、競合会社とサブフランチャイズ契約を締結し、担当顧客に営業を実践

・競業禁止特約(退職後2年間、たんとうした営業地域及び隣接都道府県)、秘密保持特約

『有効』

地域が限定されており、秘密保護を担保するものとしている

東京リーガルマインド事件
(看板講師)

・看板講師であり監査役の地位にあった者及び代表取締役経験者が退職後、司法試験受験予備校を開設

・就業規則(退職後2年間、地域無限定、代償措置なし)

『有効』

就業規則は営業秘密等の漏洩防止のための競業禁止を定めたものと解した

※ 就業規則に記載をし、年数もしくは地域での限定と、機密保持手当や退職金増額等の代償措置が必要
※1 社名を伏せて欲しいとのご連絡をいただきましたので、伏字とさせていただいております。

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■競業避止義務を負わせることが有効か無効かのポイント

・非管理職であって企業秘密に接する立場にないケースでは、期間が短くても無効
・地域が限定されれば、期間が1年であっても有効
・管理職であっても、期間や地域が限定されていなければ無効
・期間が限定され、代償措置が取られていれば有効

退職後において、競業避止義務を負わせるには、

就業規則の記載が重要です!

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